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アラサー女子大家 シルクです。
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不動産投資は法人で行うべき?個人で行うべき?
私は1棟目の物件を個人で購入しました。
周囲の大家さんを見渡しても、殆どの人は初めは個人で不動産を取得しています。
その理由は、サラリーマン大家であれば、不動産投資向けの金融機関パッケージ商品である「アパートローン」が使いやすいからです。
よく言う「年収の何倍まで」という融資の基準は、サラリーマン向けのアパートローンのお話です。
対して、法人設立して融資を引く場合は、金融機関の法人向け商品である「プロパーローン」を使うことになります。
法人成り(法人化)して不動産投資を行うメリット3点
最初は個人で始める方が多い不動産投資ですが、一定のラインにくると法人設立のタイミングがやってきます。
私も2棟目か3棟目の取得時に法人を設立する可能性が高いので、今回は、不動産投資で法人を作るメリットを3つお話します。
不動産投資を法人で行う3つのメリット
- 税制・税率面で個人より有利になる場合がある
- 経費計上がしやすい
- 投資規模の拡大
1. 税制・税率面で個人より有利になる場合がある
まず法人を設立する一番の理由は、税制面での優遇です。
ここ数年、税制改正で個人の所得税などは増税の傾向にあり、一方で企業(法人)に対しては国際競争力を強化したいという目的から減税の傾向にあります。
不動産投資において、税負担は収支に大きく影響します。
動く金額が大きいので、課税額も大きいです。
課税所得が一定額を超えると法人のほうが税率が低い
個人で不動産投資をする場合は、給与収入+不動産投資での利益が課税所得金額になります。
特に本業の年収が高い場合は、すぐに課税率が高いゾーンに突入してしまいます。
具体的な税率は以下のとおりです。
個人の税率(所得税率+住民税率)
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
0円〜195万円 | 15% | 0円 |
195万円〜330万円 | 20% | 9万7500円 |
330万円〜695万円 | 30% | 42万7500円 |
695万円〜900万円 | 33% | 63万6000円 |
900万円〜1800万円 | 43% | 153万6000円 |
1800万円〜40000万円 | 50% | 279万6000円 |
4000万円〜 | 55% | 479万6000円 |
法人の税率(法人税率+住民税率+事業税率)
利益 | 税率 |
0円〜400万円 | 約22% |
400万円〜800万円 | 約23% |
800万円〜 | 約34% |
つまり、個人の課税所得が900万円を超えた時点で、どう転んでも法人税率のほうが低くなるのがポイントです。
ただし、不動産の資産管理法人(プライベートカンパニー)の場合は、法人の利益が800万円以上にならない場合も多いので(法人税率が22〜23%でおさまる範囲)、
その場合、個人の課税所得が約700万円を超えた時点で、法人税率のほうが低いということになります。
法人は経費を差し引いた「利益」に課税される
また前提として、個人と法人では課税の仕組みが違います。
個人の場合は、サラリーマンの給与をイメージすれば分かる通り、税金が収入全体に課税され、残りが「手取り」収入になります。
一方で法人の場合、経費を引いた利益に課税されますので、
総所得500万円、どちらも支出が300万円の場合の手残り
個人:税金150万円(500万×30%)、支出300万円、手残り50万円
法人:支出(経費)300万円、税金44万円(200万×22%)、手残り156万円
※各種控除は考慮しない概算イメージ
このような差が生まれてきます。
2. 経費計上がしやすい
既に経費の話をしていますが、不動産投資(不動産賃貸業)の所得は「総収入ー必要経費」として計算します。
この必要経費の範囲が、個人と法人で違います。
個人の経費:不動産の収入を得るために直接要した費用
法人の経費:会社の活動により支払われる支出すべて
個人の不動産投資の経費として認められるのは、例えば
- 物件にかけた損害保険料(火災保険など)
- 物件の管理費、修繕費
- 借入金の利息(※元本は経費になりません)
- 税理士費用
- 減価償却費
などです。
このあたりは個人、法人問わず経費にできますが、
個人の場合は「交通費や接待交際費、図書費」といった費用を、明確に不動産投資に利用したものとそうではないものに分けなければいけません。
3. 投資規模の拡大
最後に重要な法人化のメリットは、投資規模の拡大を続けられることです。
サラリーマン個人に貸し付ける「アパートローン」は、年収やバランスシートを見て、どんな人にもいずれ限度額に到達するときがやってきます。
年収が高く、預貯金他資産が潤沢にある人であれば、2〜3億円を個人で借り入れることも出来る場合がありますが、
本気で「年間キャッシュフロー1000万円」などを目指す場合、少なくとも5,6億円規模の投資が必要になってきます。
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そうなると個人の借り入れのみで投資をするだけでは融資枠が足りません。
そこで登場するのが法人と、法人向けの融資である「プロパーローン」です。
プロパーローンとは融資基準に明確な決まりがなく、不動産投資を「事業」とみなして融資を組み立てます。
金融機関側が、申込者及び購入物件をみて融資利率や融資額をオーダーメイドに決定する融資であり、実質的には金額の上限がありません。
資産規模を拡大するために法人化は必須
以上を踏まえると、不動産投資のために何億円という借り入れが必要な場合、法人化はいずれ必要となってくるのです。
そうではない場合(数棟のみの投資で終える場合)は、個人での借り入れのみで賄っても大丈夫ですが、その場合は税率を注視して、利益を最大化出来ているかどうか気をつけていきましょう!